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日常あったことや、その時々の萌えを語り散らす場。
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今日は七夕でしたね。
まあいつものごとくフツーに仕事でしたが。
短冊に願い事も書いてないよ!書くとしたら「仕事が効率よく出来るようになりたい」か「絵が上手くなりたい」かな。

そんな訳で、自分自身が何もしていないのでせめて小話くらい書きたいなーと思いざかざか書いてみました。
先日誕生日を忘れてしまっていたので、シュヴァルツ関連ということでシリシュヴァです。
しかし書いていったら七夕があんまり関係ない感じになりました。
そしてギリギリセーフ!

続きからどうぞ。
腐向け。キス描写あり注意。
クオリティは気にしたら負け。




僅かに空気が重い。船内ゆえ閉め切られた部屋の中で、停滞した空気がどよりと沈殿する。
時折咳き込む音が聞こえた。
そこへ、ギ、と重い音をさせて光が差し込む。外から入り込んだ空気が、室内をかき回す。
「シリル様、紅茶をお持ちしました」
「けほっ…ありがとうシュヴァルツ」
口の中が鉄臭くてしょうがなかったんだ。と少し疲れた声で笑うと、起き上がって紅茶を受け取る。
ここまで運ぶ間に少し冷めることも考慮してあるのか、いつも丁度いい熱さだ。
すっきりとしたレモンティー。夏に飲むには少し熱いかと思われるホットティーだが、こちとら体の調子が悪くて一日臥せって気分も落ち込んでいるのだ。
こういう時には熱かろうが好物を口にしたくなる。
欲を言えば、ここにチョコレートの一つでもあれば文句なしなのだけれど。

少し少なめに注がれていた紅茶をぐいと飲み干し、無言で横に控えるシュヴァルツに空のカップを差し出す。
こちらも無言で受け取ると、ポットに残っている紅茶を新たに注ぎ直す。
2杯目を受け取ろうとした時、ふと燕尾のポケットから覗いている見慣れぬものに気付いた。
「どうしたんだいそれ?そんなところから物を出して歩くなんてみっともない」
「あ…申し訳ございません。紅茶を淹れている時に食堂で持たされたもので」
すっとポケットから取り出したのは、青と薄緑の長方形をした2枚の紙。
紙なら折り畳んでしまえばいいのに、と思ったが口には出さずにいると、そのうちの1枚を差し出された。
「……どうしろと?」
「今日はミブナの里における『タナバタ』という日らしいのです。そのためにこの紙を使うようで」
あの秘密主義のミブナの里の住人が、伝統の日を他人に教えるなど珍しいこともあるものだ。
そう素直に言うと、どうやらしいながすずと会話しているところを耳ざとく聞かれてしまったらしいとのこと。
「ふふ、しいなさんのそういう忍びらしくないところは好ましいね」
「当の本人は落ち込んでおりましたが。しかし里を出ても故郷のイベントが出来て楽しそうでもありましたね」
サイドテーブルに置かれていた赤く染まった布を片付け、ついでにペンを取りシリルに差し出す。
「今宵は"織姫"と"彦星"が年に一度天の川を渡り逢瀬を許された日らしいです。そしてこの紙に願い事を書き笹に吊るして二人に願い事を託すようですよ」
「…ふぅん」
「折角持たされたのですから、シリル様も書いてみては如何ですか?」
数秒、目の前に差し出されたペンを見やり、残りの少し冷めてぬるくなった紅茶を煽る。
綺麗になったサイドテーブルに置き、代わりにペンに手を伸ばす。

しかし掴んだのはペンではなく、その先の手首で。
ぐいと力を入れて引けば、予想していなかった引力でバランスを崩した体が膝の上に倒れこんでくる。
何とかもう片方の手を着き強い衝突は免れたが、意図せず必要以上に近付いた距離に、はっとした表情で見上げてくる。
普段こちらが見上げることが多い顔を見下ろしている。なかなかにいい気分だ。
ペンが床に落ちる音がころん、と微かに鼓膜を揺らした。

「シリル様…何を…」
「願いを書く?何を書けって言うのさ。『長生きしたい』とでも?」
「…そのようなつもりで…」
「わかってるよ。でも俺の願いなんてそれくらいしかない。こんな重いもの託される二人も可哀想じゃないか?」
ひらりと短冊を床に落とし、代わりにシュヴァルツの頬についと指を滑らせる。
僅かに緊張した面持ちに変わったのを確かめると、楽しそうに口の端が吊り上がる。
「ミブナの風習に文句をつけるわけじゃないけど、その年に一度しか会えないっていう恋人達の折角の逢瀬の日に願い事を託すなんて俺には出来ないよ」
「…左様で」

「それにしてもその"オリヒメ"さんと"ヒコボシ"さんってのは随分と我慢強い人達なんだね。もし俺が同じ立場だったら大人しくなんて従えないよ」
両手で頬を挟み込み、ぐっと上を向かせる。無理矢理向かされた急な角度に苦しげな息が漏れた。
その息を飲み込むように口付ける。上手く呼吸が出来ないのか、きゅうと喉の奥が詰まるような微かな音が聞こえた。
ああ、うまく空気が通らないのか。わかっていつつ、むしろ更に追い込むように深く呼吸を奪う。
「…ぐ、ん…」
いい加減に本気で苦しいのか、呻くように小さな声を上げ始めてようやく解放する。
離れたものの首はいまだ固定されたままで、咳が喉元まで出かかるがこんな至近距離で無様なことは出来ないと、ぐっと喉に力を込めて押し込んだ。
「だって、年に一度、一晩しか会えないなんて嫌だろう?…俺だったら、それを決めた人を殺してでも、川をせき止めてでも奪いに行くよ」
ねえ、と吐息のように小さく呼びかけ灰色の瞳を覗き込む。
やっと手が離され自由の身となったことで、ゆっくりと体を起こしシリルから離れた。
「俺は強欲だからね。そんな美しい天上の恋人たちのように慎ましやかには生きられないよ」
「…欲がないよりは良いでしょう。どんなものであれ、欲こそ人らしさを形作る一つでございます」
「フォローありがとう。優秀な使用人を持って俺は幸せだよ」
ふふ、とゆるやかに笑い、ふと床に落ちた短冊とペンを視界に入れる。
少し無理な姿勢まで体を捻り、ベッド下のペンを拾い上げた。
「…さて、そういえばお前は何を願うのかな?」
先程差し出されたペンを、今度はシリルからシュヴァルツに向ける。
それを受け取ると、数秒考えるように目線をずらしてから再びシリルの菫色の瞳を見やる。
「…思いつきません」

今日一番の笑い声をあげた。

そういえば、今夜は雨だ。彼らはちゃんと会えたのだろうか。
まあ、そんなの自分が心配することではないが。





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折角の七夕なので、と何か書きたかった。
誕生日当日をスルーしてしまったので代わりにとシリシュヴァにしたけれどその結果がこれですかアチャー。
プロットとか細かいことは何も考えず、思いつくままに書いていくのでだんだん何を書きたかったかがよくわからなくなります。
七夕なんだから、もうちょっとほのぼのしたのにすればよかったですねすみません。

では、ここまで読んでくださってありがとうございます。

11.7.7
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